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子供の勉強に効果的なご褒美制度のやり方は?やる気を引き出す6つのポイント

学習関連コラム Written By 長尾 尚子

更新日:

「テストで100点を取ったらおこづかいをあげる」「宿題が終わったらゲームをしてOK」等、子供に勉強のご褒美を用意しているご家庭は多いでしょう。

子供のやる気を引き出す上で便利なご褒美制度ですが、保護者の間では「ご褒美がないと勉強しなくなるのでは?」という不安もよく聞かれます

子供の勉強とご褒美の関係は、教育経済学や心理学の分野で数多くの研究が行われており、効果的なご褒美の与え方がわかってきました。

そこで今回は、様々な研究データも参考にご褒美制度の正しい活用法と最終的に子供が自ら学ぶ姿勢を身につける方法について解説します。

「子供がタブレット学習に飽きてしまった」「毎日続けられない」と悩んだときは、続かない理由を分析した上で原因に応じた対策を取るのがおすすめです。5つのよくある原因とそれぞれの対処法をチェック!

研究データから見るご褒美制度の効果と注意点

子供の学習に対するご褒美制度の研究としてひろく知られているのは、ハーバード大学のローランド・フライヤー教授らによる「インセンティブ研究」です。

報酬は「結果」よりも「プロセス」に与えるほうが効果的(ローランド・フライヤー教授のインセンティブ研究)

フライヤー教授らは、金銭的な報酬が生徒の学習成果に与える影響を調査しました。その結果、テストの点数(結果)に報酬を与えたケースよりも、「本を読む」「宿題を提出する」等の学習行動(プロセス)に与えたケースの方が、より良い学習成果を修める傾向があることがわかりました。

また、発達心理学の研究では、幼年期から児童期にかけての子供は、外発的動機(報酬・評価といった外部からの働きかけ)の影響を受けやすく、成長に従って内発的動機(自分の中から生まれるモチベーション)を育てていくことが知られています。

つまり、ご褒美制度は使い方次第でモチベーションアップに繋がるのです。特に学習習慣が確立していない小学生にとっては「学習の習慣作り」に一定の効果があると言えるでしょう。

参考:The Hamilton Project - The Power and Pitfalls of Education Incentives

ご褒美制度の落とし穴・アンダーマイニング効果とは?

一方で、ご褒美制度には注意点もあります。もっとも大きな問題として知られる「アンダーマイニング効果」は、外発的報酬(ご褒美)を与えることで、かえって内発的動機づけが低下してしまう現象です。

心理学者のエドワード・デシ氏やマーク・レッパー氏の研究により、もともと興味を持って取り組んでいた活動に報酬を与えると、その活動への純粋な興味が失われるケースがあることがわかりました。

保護者の方の「ご褒美がないと勉強しなくなるのでは?」という心配は、決して杞憂ではありません。特に金銭的な報酬は、子供の金銭感覚や価値観に影響を与えやすく、慎重な扱いが必要です。「お金をもらえるから勉強する」という価値観が固定化してしまうと、学習の本質的な意味を見失う可能性も。

ご褒美制度を利用する場合は、長期的なデメリットが起きないよう、正しい活用法を知ることが大切です

ご褒美制度を成功させる6つのポイント

それでは、ご褒美制度を効果的に活用するためのポイントを見ていきましょう。

  • 結果ではなくプロセスに対してご褒美を与える
  • 適切な目標を設定する
  • 行動とご褒美の間隔は短くする(即時性を意識)
  • 適切なご褒美を選ぶ
  • 徐々にご褒美を減らしていく
  • 言葉によるご褒美(承認)を併用する

結果ではなくプロセスに対してご褒美を与える

フライヤー教授らの研究が示す通り、ご褒美は「テストで100点を取る」という結果よりも、「毎日30分勉強する」という学習行動(プロセス)に対して与えたほうが効果的です

ご褒美の対象を具体的な行動に設定することで、子供は自分の力で確実に目標を達成できます。小さな成功の積み重ねは、その後の自信とやる気にもつながるでしょう。

適切な目標を設定する

ご褒美をもらうための目標は、子供が「少し頑張れば達成できる」と感じるレベルに設定しましょう。勉強の習慣がない子であれば「1日10分机に向かう」等、小さな目標からスタートし、少しずつハードルを上げていくのがおすすめです。

また、親が一方的に決めるのではなく、子供と相談して「1日何分なら頑張れそう?」と意見を聞くようにすると、子供自身の主体性を育むきっかけにもなるでしょう。

行動とご褒美の間隔は短くする(即時性を意識)

行動心理学の原則として、行動と報酬の間隔は短いほど効果が高まります。特に小学生の場合は、時間感覚がまだ発達途上なので、目標達成後は早めにご褒美を与えると良いでしょう。

★目標達成からご褒美を与えるまでの時間

低学年(1〜2年生) その日のうち、または数日単位
中学年(3〜4年生) 1週間単位
高学年(5〜6年生) 1〜2週間単位

ただし、「カレンダーにシールを貼る」といった視覚化の工夫によっても、目標達成までのモチベーションを維持することが可能です。

適切なご褒美を選ぶ

子供にどのようなご褒美を与えるかは、ご褒美制度の成否を決める重要なポイント。後述の「避けたいご褒美」でも詳しく解説しますが、特に押さえておきたい原則は以下の3点です。

ご褒美で心がけたいこと

  • 高額すぎる物や金銭は避ける
  • 学びにつながるものや体験を優先する
  • 子供自身が喜ぶもの(親の押し付けにならないよう注意)

ご褒美はあくまで「モチベーションのきっかけ」であり、ご褒美が「勉強の目的」とならないよう注意しましょう。

徐々にご褒美を減らしていく

ご褒美制度の最終目標は、ご褒美がなくても子供が自ら勉強する習慣を身につけることです。そのため、ご褒美は子供の成長に従って段階的に減らすよう心がけましょう。学習習慣が定着し、子供自身が「勉強って面白い」「分かると楽しい」と感じ始めた時がご褒美を減らすタイミングです。

ご褒美を減らしていく手順と流れ

  • 1

    物質的なご褒美から非物質的なご褒美へ

    まずは形のあるご褒美(おもちゃ、お菓子etc.)から始め、徐々に体験(一緒に遊ぶ、好きな場所に行くetc.)や言葉による承認へとシフトしていく。
  • 2

    ご褒美の頻度を減らす

    毎日から週1回、週1回から月1回というように、徐々に報酬を与える頻度を減らしていく。
  • 3

    予測不可能なご褒美の導入

    常に報酬を与えるのではなく、時々与えるようにすると、かえってモチベーションが維持される場合がある。
  • 4

    内発的な動機づけを強化する

    ご褒美を減らす代わりに学習の楽しさを感じられる機会を増やす。

言葉によるご褒美(承認)を併用する

「頑張ったね」「すごいね」という言葉は、子供の自己肯定感を高め、やる気を引き出す力となります。タイミングを逃さず褒めることで、物質的なご褒美以上に効果を発揮するケースも

ご褒美がなくなっても親からの承認や励ましがあれば、子供は学習を続けるモチベーションを保ちやすくなります。

言葉で褒める際のポイント

  • 具体的に褒める
    …「えらいね」だけでなく、「昨日は10分だったのに今日は15分も勉強できたね」と具体的に何が良かったかを伝える。
  • プロセスを評価する
    …「100点を取ったね」よりも「難しい問題に挑戦して最後まで諦めなかったね」とプロセスや努力を褒める。
  • 成長を認める
    …「前より上手になったね」「速く解けるようになったね」と子供の成長したところを具体的に指摘する。
  • タイムリーに伝える
    …良い行動を見たら、その場ですぐに褒める。

「おすすめのご褒美」と「避けたいご褒美」

子供に与えるご褒美には、効果的なものと避けたいものがあります。それぞれのポイントを見てみましょう。

おすすめのご褒美

家族の思い出作りや、子供の学びのきっかけになるもの、日々の小さな達成感を得られるものは、単なるご褒美にとどまらず、親子のコミュニケーションや子供自身の成長にも役立ちます

体験型のご褒美

  • 遊園地・動物園・キャンプ・ピクニック等の子供が行きたい場所に連れていく、映画を観に行く、一緒に料理やお菓子作りをする、特別な外食(お気に入りのレストランetc.)

学習につながるご褒美

  • 本(子どもが興味を持っている分野の本、図鑑、漫画でもOK)、文房具(お気に入りのペンやノート、かわいい消しゴムetc.)、工作キットや実験セット、博物館や科学館の入場券、学習まんがや教育的なボードゲームetc.

小さなご褒美

  • シールやスタンプ、好きなおやつ(特別なお菓子、アイスクリームetc.)、少額のお小遣い(100円程度)、好きなテレビ番組を観る時間、ゲームやスマホの使用時間(普段より少し長め)

手作りのご褒美ノートやシールカード

  • カレンダーにシールを貼っていく、ポイントカードを作ってポイント交換、目標達成チャートを壁に貼る、「できたことノート」を作って毎日記録する

避けたいご褒美

一方で、避けた方が良いご褒美もあります。子供の金銭感覚を歪めてしまうものや、自分の努力だけではコントロールできない結果に対するものは、ご褒美制度の長所をなくしてしまう恐れがあるので避けましょう

高額なおもちゃやゲーム

  • ゲーム機、高価なおもちゃ、ブランド品等は、子供の金銭感覚が歪みやすく、次のご褒美がさらに高額になりやすい。

現金(特に高額なおこづかい)

  • 「勉強=お金を稼ぐ仕事」という価値観が形成され、知識を得る喜びや達成感といった学習の楽しさに気づきにくくなる。

テストの点数にご褒美を与える

  • 「良い点数=ご褒美」という結果至上主義に陥りやすく、結果が出ない場合に子供が自信を失う。カンニング等の不正手段を取る誘惑が働く。

兄弟姉妹間での不公平

  • 一人だけにご褒美を与えることで、兄弟姉妹の関係が悪化するケースも。年齢や発達段階に応じて異なる目標を設定し、他の兄弟姉妹とは比較しないこと。兄弟姉妹が協力して達成する目標も設定すると良い。

【コラム】タブレット学習教材が提供するご褒美制度

家庭向けのタブレット学習教材には、子供のやる気を引き出すご褒美制度採用しているものがあります。カリキュラムを進めるに従ってポイントが貯まり、アイテムや商品がもらえる等、学習システムそのものにご褒美が組み込まれている点が特徴。親が別途ご褒美を用意しなくても子供が学習を続ける動機づけとなります。

すらら

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すららは、学年に縛られない「無学年学習」を採用するタブレット学習教材。家庭のパソコン・タブレット端末で対話型のレクチャーを受けることにより、子供が自発的に学ぶ環境を提供しています。ユニット(学習単元)をこなすと、ポイント(トークン)がもらえ、欲しい物と交換が可能。さらに入会から3か月の間にユニットを200個クリアする「ユニットクリアチャレンジ」も実施しており、クリア数に応じて商品がもらえます。「次のユニットもクリアしたい」という自然な意欲が芽生えやすく、子供の学習継続につながりやすいでしょう。

すらら公式サイトへ行く

進研ゼミ 小学講座

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進研ゼミ 小学講座は、ベネッセが提供するタブレット学習教材(および紙教材)です。タブレット学習の「チャレンジタッチ:は、専用端末に小学校名を登録することで、教科書に準拠した講座が毎月配信され、日々の学習サポートを受けられます。

学習や課題提出でポイントが貯まり、ボールやバッグ等の実用的なアイテムと交換できる「努力賞ポイント制度」を実施。学習を頑張る動機づけになるのはもちろん、「コツコツ続ければ目標に届く」という自信と経験を得ることができます。

進研ゼミ 小学講座公式サイトへ行く

ご褒美制度を卒業するには?自分で勉強する子に育てる方法

ご褒美制度は、あくまで学習習慣を身につけるためのきっかけです。最終的な目標は、子どもが自ら「知りたい」「学びたい」と思えるようになること。そのために心がけると良い環境作りやテクニックをまとめました。

子供の内発的動機づけを育てる環境作り

子供が自分の意思で勉強したいと思えるようになるために、以下のことを意識してみましょう。

親の姿勢で学ぶ楽しさを伝える

日々のニュースや出来事について家族で話し合う、親が読書や知らないことを調べる&新しいことに挑戦する等、親自身が学ぶことを楽しんでいる姿を見せる

「なぜ勉強するの?」への答えを子供と一緒に考える

「計算ができると買い物で役に立つ」「理科を勉強すると空の雲がなぜできるかわかる」等、学んだことが日常生活とどうつながっているかを具体的に示すと、勉強の意味を実感しやすい

子供の興味関心を引き出す声かけ

子供の疑問に対して「面白いことに気づいたね」と発見を認めたり、「どうしてだと思う?」と考えるきっかけを与えたりすることで、子供の好奇心の幅が広がる。正解を急がず、試行錯誤のプロセスを楽しむことも大切

子供が自分で決める経験を増やす

「算数と国語、どちらから始める?」「今日は何ページやる?」等、子供自身に目標を決めさせる。忘れ物や宿題忘れ等の失敗も時には必要。

学習を習慣化するテクニック

内発的動機づけと並行して実践したいのが学習の習慣化です。勉強が習慣になることで「やるかやらないか」で悩むエネルギーが不要になり、自然と机に向かえるようになるでしょう。

決まった時間・場所で学習する

人間の脳はパターンを好むので、毎日同じ時間・同じ場所で学習すると、自然と「勉強モード」に切り替わりやすい。「おやつを食べたら勉強する」「終わったらカレンダーにシールを貼る」等のルーティンを作るのもおすすめ。

小さな成功体験を積み重ねる

「教科書を開く」「漢字を1つ覚える」等の確実にできることから始め、「3日続いた」「1週間続いた」と継続そのものを評価する。子供が失敗しても責めずに、「明日またやればいいよ」と励ます。

親の見守りとサポート(過干渉にならない距離感を保つ)

「勉強しなさい」と命令するより、「もうすぐ勉強の時間だよ」と促すほうが子供のやる気を育てやすい。困っているようなら「どこが分からない?」と聞く。質問の前に先回りして答えすぎないことも大切。

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