海外で学ぶ小学生をサポート。現地にいながら受講できる日本の通信教育はある?
親の海外赴任などにより、日本の国外で学んでいる子供の数は約8.3万人にのぼります※。その多くは、日本人学校や現地の小学校・中学校等に通い、各自の年齢に応じた教育を受けています。
しかし、いずれ帰国することが決まっている場合や、進学先として日本の中学校・高校・大学を検討している場合、現地の学校教育や学習内容とのズレに不安を感じている保護者の方も多いのではないでしょうか。
海外在住の子供が日本での進学を目指す際、学習サポートとして役に立つのが通信教育です。
日本の国内で提供されている通信教育の多くは、文部科学省が定めた「学習指導要領」に準拠しているため、海外滞在中にカリキュラムをこなすことで帰国後の授業やテストでのギャップを少なくできます。
中でもタブレットやPCを使ったオンライン学習は、テキストでの勉強や課題の提出をインターネット経由で行えるため、海外でもスムーズに学習できます。
そこで今回は、「海外で学ぶ子供におすすめの通信教育」をテーマに、タブレット学習のメリットやデメリット、通信教育の選び方、おすすめの通信教育について解説します。
目次
海外でタブレット学習(通信教育)を受講するメリット&デメリット
海外でタブレット学習を受講するメリット
- 海外にいながら日本の学習指導要領に合わせた学習ができる
- 日本の学校へ転入・進学する際のギャップを少なくできる
- ひらがな、カタカナ、漢字、日本語読解などを学習できる
- 教材の海外発送料が不要で、郵便事故も避けられる
海外でタブレット学習を受講するメリット海外にいながら日本の学習指導要領に合わせた学習ができる
タブレット教材をはじめとした通信教育は、文部科学省が制定する「学習指導要領」をもとにカリキュラムが組まれています。
学習指導要領とは、小学校・中学校・高校の教育現場に向けて各学年の学習到達目標を定めたものです。学習指導要領に準じた通信教育で学ぶことで、学習単元を漏らさず履修できるため、帰国してからの転入や進学に支障が出づらくなります。
海外でタブレット学習を受講するメリット日本の学校へ転入・進学する際のギャップを少なくできる
日本の学校生活に関する豊富な知識を得られる点もタブレット学習の魅力です。カリキュラムをこなすことで学習指導要領に合わせた学習ができるだけでなく、動画で学校の授業風景を疑似体験したり、社会の授業で日本の地理や制度について学んだりと、日本の社会そのものへの理解を深められるでしょう。
また、通信教育の多くは、保護者向けにも日本の教育情報を発信しています。高校受験のスケジュールや内申点、定期考査の関係など、海外からだと見えにくい子供の進学事情を知ることができる点も、通信教育を受講する大きなメリットです。
海外でタブレット学習を受講するメリットひらがな、カタカナ、漢字、文章読解などを学習できる
海外で学ぶ子供の多くは、日本で暮らしていたときよりも日本語に触れる機会が減っています。
通信教育のカリキュラムに含まれている「国語」は、ひらがな、カタカナ、漢字、文章読解、文法、語彙、日本の文学作品とその作者など、日本語をあらゆる角度から学ぶことができます。
日本で生活する際に不可欠な書き方(ひらがな、カタカナ、漢字、ローマ字etc.)や読解力を養うためにも、特に「国語」はしっかりと学ぶ時間を設けましょう。
海外でタブレット学習を受講するメリット教材の海外発送料が不要で、郵便事故も避けられる
通信教育の中でもタブレット学習は、手持ちの端末にカリキュラムが配信されるため、紙のテキストと比較すると海外発送料などのコストがかかりません。
「発送したものが届かない」といった郵便事故も避けられるため、特に日本から地理的に遠い国で生活する場合は、タブレット学習を活用すると良いでしょう。
海外でタブレット学習を受講するデメリット
- 現地のインターネット環境に左右される
- 紙の教材と比較すると手を使い文字を書く機会が減る
海外でタブレット学習を受講するデメリット現地のインターネット環境に左右される
タブレット学習は、インターネットを介してタブレット端末に通信教育のカリキュラムが配信されます。そのため、インターネット環境を確保できない国では十分な学習ができません。
プロバイダサービスやWi-Fi環境が未発達な地域に住んでいる場合は、紙の教材で学べる通信教育がおすすめ。教材の海外発送など、海外での受講に対応しているサービスを選びましょう。
海外でタブレット学習を受講するデメリット紙の教材と比較すると手を使って文字を書く機会が減る
タブレット学習の基本的な学習方法は、タブレットやPCに表示される問題に回答し、解説動画などを視聴して理解を深めていくものです。
画面の操作は、マウスやキーボード、タッチパネルが中心となるため、紙の教材を使った通信教育と比較すると「書く」レッスンが少なくなりがち。
文字の書き方を覚える国語や、問題を図に書きあらわして考える算数など、書く学習に力を入れたい場合は、紙の通信教育を選択したほうが良い場合もあります。
また、タブレットの講座内容をもとに、自分で学習用ノートやまとめノートを作る方法もおすすめです。
海外でタブレット学習を受講する際の選び方とチェックポイント
海外での利用に適したタブレット学習を選ぶ場合は、主に以下の2つのポイントをチェックしてみましょう。
ソフトウェア型か専用タブレット型か
タブレット教材には、手持ちのタブレットやPCを使用する「ソフトウェア型」と、オリジナルのタブレット端末を使用する「専用タブレット型」があります。
日本国内であれば、いずれの教材も利用可能ですが、海外で受講する場合、専用タブレット型は海外への発送に対応していないケースも。
そのため、海外でタブレット学習を受講する際は、ソフトウェア型か専用タブレット型かを必ずチェックしましょう。ソフトウェア型であれば、手持ちのタブレット端末が対応しているか、専用タブレット型であれば、海外へのタブレット発送できるかどうかが教材選びのポイントです。
苦手分野や遅れている単元へのサポートはあるか?
海外の現地校に通う子供の場合、授業のカリキュラムが日本と異なるケースが少なくありません。また、日本語に触れる機会が少なく国語に苦手意識がある場合や、現地の言葉がわからず学習全体に遅れが出てしまう場合もあります。
そのため、海外でタブレット学習を受講する際は、苦手な分野や遅れている単元のフォローアップがしっかりしている教材を選びましょう。たとえば、子供の年齢や学年こだわらず、わかる箇所まで戻って学習する「無学年学習」「さかのぼり学習」は、学習単元を確実に身につけてから先に進めるため、子供の学習理解度を高められます。
さらに、勉強の進め方やつまずき箇所について相談できるサービスを用意しているタブレット学習もおすすめです。子供自身はもちろん、親に対して子供への声のかけ方や学習指導の仕方などをアドバイスしているタブレット学習もあります。
海外での受講におすすめのタブレット学習は?
それでは、海外での受講におすすめのタブレット学習+αをご紹介します。
出典:すらら公式サイト
e-ラーニングを利用した教育サービスを提供している「すららネット」のタブレット学習。海外在住者や帰国子女の学習サポートに強く、アメリカやシンガポールの日本人学校にも教育システムを導入している。
手持ちのタブレットやPC端末に講座が配信されるソフトウェア型のタブレット学習で、カリキュラムは日本の学習指導要領に準拠。
また、子供の学年や年齢にこだわらず一人ひとりの理解度に合わせて学習単元を自由に選べる「無学年学習」を採用している。授業についていくことが困難な教科は、わかる箇所まで戻って学べるため、単元の理解度が深まるとともに、学ぶことに対する苦手意識が育ちにくい。
受講中は、子供の学習をサポートする「すららコーチ」が付き、子供の生活環境や特性をふまえた学習設計を提案。保護者にも見守り方や励まし方などをアドバイスしてくれる。さらに、日本の教育事情や受験情報の相談も可能。
子供の授業の遅れが気になる場合や、現地に日本人学校がなく日本語に触れる機会がない場合におすすめのタブレット教材。
対象学年・教科
対象学年 | 小1~小6/中1~中3/高1~高3 |
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教科 | 国語、算数(数学)、理科、社会、英語
|
入会金
小中・中高 5教科コース | 7,700円 |
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小中・中高 3教科、小学4教科コース | 11,000円 |
料金(毎月払いコースの場合・税込)
3教科 | 小中コース | 円 |
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4教科 | 小学コース | 円 |
5教科 | 小中コース | 円 |
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出典:デキタス公式サイト
学習塾や乳幼児の教育サービスを手がける「城南進学研究社」が提供するタブレット学習。手持ちのタブレットやPC端末で学習するソフトウェア型の教材で、2~5分間の授業と、まとめ問題(○×チェック、基本問題、チャレンジ問題)をセットでこなすことで一つ一つの単元をスモールステップで身につけられる。
自分のペースで単元の先取り・さかのぼりが可能なため、苦手な分野はわかる箇所まで戻り、学習に取り組める点が特徴。
さらに、教員や塾講師の経験を持つ「デキタス先生」が、子供の学習画面を共有しながらマンツーマンで学習指導をおこなう。保護者への学習指導のアドバイスも提供しているので、我が子の勉強をどのように見てあげればいいかわからない保護者にも心強い。
受講料金は、入学金不要、月額料金は3,300円(税込)から4,400円(税込)と、他のタブレット教材と比較してもリーズナブルに設定。
5日間の無料体験も随時実施しているため、カリキュラム内容や取り組みやすさなどをチェックの上、申し込みを検討すると良いだろう。
対象学年・教科
対象学年 | 小1~小6/中1~中3 |
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教科 | 国語、算数(数学)、理科、社会、英語
|
料金
入会金 | 無料 |
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料金(毎月払いの場合・税込)
小学1・2年生(国語、算数、英語、生活) | 円 |
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小学3~6年生(国語、算数、英語、理科、社会) | 円 |
中学生 | 円 |
- 入会月受講料 無料!さらに1,000デキタポイント プレゼント!
- 5日間無料受講可能
出典:サブスタ公式サイト
e-ラーニングによるサブスクリプション型の教育サービスを提供する「lean earns(リーンエンズ)」のタブレット学習。不登校生徒の在宅学習プログラムとして出席扱いになる要件を満たしており、「出席扱い認定制度(※)」を利用できるタブレット教材としても注目を集めている。
サブスタでは事前にチャットにてヒアリングを行い、プロの学習アドバイザーが1か月単位で子供一人ひとりに合わせた学習計画表を作成。自分に合ったスタイル・内容で学習に取り組め、短期間で成果を出すことができる。
また、有名講師による1,000本以上の動画(※1本あたり約10分)や音声を活用し、「見る」「聞く」「書く」「動かす」の体感的な学習ができるのも魅力。
料金は月額円(税込)から。入会金・解約金は0円となっており、月額料金のみで利用可能。14日間の無料体験(全額返金保証)も提供している。
小1~中3の全教科・全学年に対応し、学年を超えた学習ができるほか、文部科学省の学習指導要領に準拠した内容で学べるため、小学生・中学生の子供向けに海外で受講できるタブレット教材を検討する際、ぜひ候補に入れておきたい。
※出席扱い認定制度…不登校生でも、ICT(インターネットやコンピュータ)を活用した在宅学習で要件を満たせば、出席扱いになる制度
対象学年・教科
対象学年 | 小1~小6/中1~中3 |
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教科 |
|
料金
入会金 | 0円 |
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料金(毎月払いの場合・税込)
小1~小6(国語、算数、理科、社会) | 円 |
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中1~中3(国語、数学、英語、理科、地理、歴史、公民) | 円 |
小1~中3(全教科) | 円 |
- 14日間の無料体験(全額返金保証)あり
出典:Z会公式サイト
難関中学・高校・大学への進学を視野に入れたハイレベルな講座内容で知られる通信教育「Z会」が提供するタブレット学習。手持ちのiPadとデジタルペンシルを使用して紙の通信教育講座と同等のカリキュラムを受講できる。
タブレット教材・紙教材ともに海外での受講に対応しているが、タブレット学習はApp Store未対応の国・地域では受講できない点には注意したい。また、アンドロイド端末、iPhone、iPod touchでの受講も不可となっている。
1回分の学習を「要点のまとめ」「確認問題」「解き直し」のスモールステップで学び、練習問題で理解度をチェック。間違った部分の解き直しでさらに知識定着を図る。
中学生コースでは、「オープンカリキュラム」を採用しており、中学3年間のカリキュラムから自分で学習内容を選べる。デジタルペンシルを利用した記述問題をオンラインで提出&添削してもらうこともでき、記述式問題をカバーしている点も嬉しい。
教科書+αの学習を目標としているため、基本的な学習習慣があり、発展問題に取り組みたい子供や、難関校を目指す子供におすすめのタブレット学習だろう。
対象学年・教科
対象学年 | 小1~小6、中1~中3 | |
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教科 | 1・2年⽣ | 国語/算数/みらいたんけん学習/英語/プログラミング学習 |
3~6年⽣ | 国語/算数/理科/社会/英語/総合学習/プログラミング 学習 | |
中学生 | 国語/数学/英語/理科/社会 ※単科選択可能 |
料金
入会金 | 無料 |
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料金(毎月払いの場合・税込)
小学生タブレットコース1~6年生 | ~円 |
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中学生タブレットコース(セット受講) | ~円 |
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- 中学生タブレットコースは別途海外受講会費2,100円/月
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出典:天神公式サイト
教育ソフトウェアの開発・販売を行う「株式会社タオ」が提供する家庭用デジタル教材。
天神の特徴は、インターネットへの接続不要で利用できる点。海外の国のなかには通信環境が不安定なところもあるため、オフラインで学習に取り組める点は、他のタブレット学習と比較しても天神を利用する大きなメリットといえるだろう。
また、学習内容が全国の教科書に準拠しているほか、各教科の教材には1学期から3学期までの1年分が収録されている。自分のペースで学習に取り組めるのも天神の大きな魅力。
「順番に・丁寧に・少しずつ」レベルアップしていけるスモールステップ学習を採用し、子供の「分からない・できない・続かない」を解消できるよう設計されている点もチェックしておきたい。
料金は学習進度や苦手科目などに合わせたフルオーダーメイドのため、子供によって異なる。
資料請求者限定で4日間の無料体験ができるため、気になる場合はまず資料請求をするのがおすすめ。
WindowsのPCでのみサービスを利用できる点には注意が必要だが、海外から受講できるデジタル教材を検討する際、天神は有力な選択肢の一つ。
対象学年・教科
対象学年 | 小1~小6(小学生版)、中1~中3(中学生版) |
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教科 | 小学生版 国語、算数、理科、社会、生活、英語
国語、数学、理科、社会、英語
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料金(毎月払いの場合・税込)
入会金 | 0円 |
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受講費 | フルオーダーメイドのため受講者により異なる |
- 資料請求後のLINE登録&無料体験後の新規注文で、もれなくAmazonギフト券 計5,000円分プレゼント【2024年8月31日まで】
通信教育大手「進研ゼミ」は、紙教材で海外発送に対応
通信教育の中でも知名度の高い進研ゼミは、従来の紙教材「チャレンジ」のほかに、専用タブレット端末を利用したタブレット教材「チャレンジタッチ」を提供しています。
ただし、チャレンジタッチは海外での受講に未対応のため、海外で進研ゼミを受講したい場合は紙教材のチャレンジのみ利用可能。
海外での受講時は、国内で受講する際にかかる費用(教材費・添削料・添削課題返送料・成績表類送付料)に加えて、海外送料や取り扱い手数料(国・地域ごとに異なる)が追加されます。
タブレット教材と比較すると、やや割高となる紙教材ですが、記述式の問題を多めに学習できる点や、インターネット環境に左右されない点は紙ならではのメリット。
特に進研ゼミは、通信教育として高い人気と実績を誇ります。子供の学習サポートには、やはり信頼感のある進研ゼミを優先して考えたい、という保護者の方は、ベネッセが提供する進研ゼミの「海外受講サイト」から海外受講の申し込みができます。
料金
入会金 | 無料 |
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進研ゼミ「チャレンジ」の海外受講費(税込)
- ()内は国内受講時の料金
小学講座 | 小学講座1年生 | 月額5,533~7,293円(円) |
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小学講座2年生 | 月額5,504~7,264円(円) | |
小学講座3年生 | 月額6,017~7,847円(円) | |
小学講座4年生 | 月額6,766~8,586円(円) | |
小学講座5年生 | 月額7,619~9,319円(円) | |
小学講座6年生 | 月額7,998~9,738円(円) |
中学講座 | 中一講座 | 月額8,137~9,847円(円) |
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中二講座 | 月額8,265~9,975円(円) | |
中三受験講座 | 月額9,072~10,812円(円) |
まとめ
数あるタブレット学習(通信教育)のなかには海外からの受講に対応しているものがあり、海外からでも日本の教材を使って学習に取り組むことが可能です。
特に将来、日本に戻る予定がある場合や日本での進学を考えている場合、帰国後に子供が学習面で困ることがないよう、海外から受講できるタブレット学習は、上手く活用したいサービスといえるでしょう。
海外からの受講に対応したタブレット学習の利用を検討している方は、本特集を参考に、子供が取り組みやすく、かつしっかりと学力を付けられるサービスを見つけてみてください。